Web広告やSEOといったマーケティング施策を進めていく際に重要になるのがCVR(コンバージョン率)という指標です。
いくら予算を投下してサイトへのアクセス数を高めても、サイトの最終目的であるコンバージョンという行動を起こしてもらえなければ意味がありません。
本記事ではCVRが停滞・低下する要因からCVRの平均値、CVRを改善するための具体的な施策やツールまで、CVR改善に焦点を当てて詳しくみていきます。
コンバージョンを増やしたいWeb担当者の方には必見の内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
CVRの基本事項
まずはCVRの基本事項についておさらいしておきましょう。企業のWeb担当者の方であれば一度は耳にしたことのある単語かとは思いますが、具体的な定義や計算式まで把握しておくことで、改善の質も上がります。
CVRの定義と計算方法
CVRとは、Conversion Rateの略称で、コンバージョン率、コンバージョンレートなどと訳されます。
コンバージョン(CV)はWebサイトにおける行動目標といえるものです。何をコンバージョンとして設定するかは企業・サイト・ページにより様々ですが、例えば以下のようなものをコンバージョンとして用いることが一般的です。
- 商品・サービスの購入
- 資料請求
- お問い合わせ
- セミナーやイベントの参加申し込み
- 会員登録、メルマガ登録 など
CVRはサイトに訪問してくれたユーザーのうち、どれくらいのユーザーが上記のようなコンバージョンに至ったのかの割合を示す指標です。
つまりCVRの計算式は以下のように表せます。
CVR(コンバージョン率)=設定したCV数(コンバージョン数)÷サイト訪問数×100(%)
例えば問い合わせをCVとしていて月100件の問い合わせを獲得、ページの月間アクセスが5000件だった場合、CVRは2%ということになります。
この数値をより高めていくために様々な改善を行っていくわけですが、目安となるCVRは業種・業界や設定するコンバージョンにより異なるため、何%まで改善すべきかといったことは一概には表せません。
業界別のCVR平均や、改善する際にみるべきポイントについては後述で詳しく解説します。
CTRとの違い
よく混同されてしまうマーケティング用語・指標としてCTRというものがあります。
CTRはClick Through Rateの略称で、検索エンジンでの検索結果やWeb広告が表示された回数のうち、どのくらいの割合でクリックされたかを示す指標です。
つまりは
- CTRは検索結果や広告の表示がどれだけサイトへの流入に繋がったか
- CVRはサイトに流入したのち、どれだけコンバージョン(サイトの最終目標)に繋がったか
と整理することができます。
CVRは業界・業種の平均値を目安にしてみよう
CVRは業種・業界や設定するコンバージョンにより異なり決まった数値はないため、平均値を目安として考え改善を進めていくのが効果的です。
業界・業種別の平均コンバージョン率
一般的に、コンバージョン率の平均は2〜3%と言われていますが、その数値は業界・業種により大きく異なります。
下記は米国の大手広告会社、Wordstrem社の創業者が公開した論文のデータです。
引用:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
業種・業界に加えて、流入経路によっても数値に開きがあることがわかります。
この数値どおりになるようにすべきというよりは、自社と業界平均を比較して改善の足がかりにするという捉え方がよいでしょう。
何をコンバージョンとして設定するかによってもCVRは変わる
何をコンバージョンに設定するかでもCVRの数値目安は変わってきます。
これも一概には言えないのですが、ひとつの観点としてBtoBかBtoCかで大別してみてみます。
BtoBの場合
BtoBの場合、購入までに長い検討期間を要するという特性から、コンバージョンポイントもメルマガ登録、ホワイトペーパDL、セミナー申し込み、サービス資料DL、問い合わせまで、段階を踏む形で多岐にわたります。基本的に購買に近いCVほどハードルが高くCVRも低くなる傾向にあると言えます。
BtoCの場合
小売業などBtoCであれば、基本的に購買をCVにみるケースが多いです。これも商材にはよりますが、1~2%程度が目安と言われています。ターゲットの母体がBtoBと比較して大きい一方で、購買という金銭が発生する行動をコンバージョンとしてとるため、全体の平均数値は低くなる傾向にあります。
CVRが停滞・低下する要因
CVRが伸び悩んだり、低下してしまう原因は様々ありますが、よくある原因は下記の3点です。自社のCVR低下が何を要因としているのか仮説だてて改善施策を進めていく必要があるため、代表的な事象をまずはおさえておきましょう。
検索結果や広告の表示内容とページ内容の関連性が薄い
まずあげられるのが、記事や広告の内容とランディングページ(流入先のページ)の内容の関連性についてです。
流入元の表示内容と流入先の詳細内容に一貫性がなければ、ユーザーは期待する情報がないページだと判断し離脱してしまうため、当然コンバージョンには至りません。
そもそも記事や広告のターゲティングを誤っていたり、ランディングページの内容をユーザー視点にたって熟考できていない可能性が考えられます。
ランディングページの使い勝手が悪い
ランディングページ(検索や広告からの流入先となるページ)の使い勝手もCVRに大きく影響する要素です。
- レイアウトが汚く読む気を削がれる
- サイト構造が複雑で必要な情報にたどり着けない
- 問い合わせや入力フォームに進むためのボタンが見つけづらい
- サイトの読み込み速度が遅い
- フォームの項目が多すぎて入力を躊躇してしまう
- スマホで閲覧すると文字が大きすぎて読みづらい
上記のようなケースにあてはまる場合は、ユーザビリティの低下から離脱、ひいてはCVRの低下に繋がってしまいます。
市場環境・競合他社、アルゴリズムの変化
記事や広告とランディングページの一貫性、ランディングページの使い勝手にこれ以上改善点が見られないという場合でも、市場環境や競合他社、アルゴリズムの変化など外部要因によってCVRが低下することも考えられます。
要因が市場環境・競合他社にあるのであれば商品・サービスの品質向上やプロモーション手法に改善を加えるべきですし、アルゴリズムアップデートが要因であればその内容を具体的に突き止め、必要な修正を施します。
それらの変化に気づかず自社内だけで闇雲に改善施策を進めていても、思うような効果は得られません。ビジネス全体に言えることではありますが、市場や競合、媒体など周囲の変化は常に追っていくよう意識しておきましょう。
CVRを改善するための具体的な施策6選
それではCVRを改善していくための具体的な施策についてみていきましょう。
①記事・広告のターゲティング精度の向上
ランディングページの流入元となる記事や広告のターゲティングの精度を上げることで、CVR向上に期待できます。
そもそもCVRの分母となるサイト訪問者を適切に絞り込むことができれば、同じコンバージョン数でもCVRの数値は上がります。その場合コンバージョン数自体は変化していませんが、サイト運用・広告運用を行っていくにあたってターゲティングは非常に重要な作業です。
ターゲット外のユーザーが不要に流入しないよう、記事であれば関連キーワードやタイトルを見直したり、広告であれば出稿キーワードやユーザー属性の見直しを図っていくといった対応が求められます。
②記事・広告とLPの関連性の強化
ターゲットに沿った記事・広告等のコンテンツが作成できたら、コンバージョンを設定しているランディングページとの関連性を強化することが重要です。
先に解説したとおり、記事や広告の内容とランディングページの内容に一貫性がなければ、ユーザーは期待する内容が無いと判断し離脱してしまいます。
記事や広告でユーザーを惹きつけた内容が、コンバージョンを設定しているページでより詳細に、わかりやすく解説されているか、内容を見直しましょう。
③マイクロコンバージョンの設定・検証
マイクロコンバージョンとは、購買という最終的なコンバージョンに至るまでの中間地点に設定する、各段階の小規模なコンバージョンのことです。
特にBtoBなど購入ハードルの高い商材を取扱う場合において、はじめはメルマガ登録やセミナー申し込みなどハードルの低いCVポイントを段階的に設けていくことで、全体的なCVRを向上していけるというメリットがあります。
④LPOの実施
LPOとはLanding Page Optimizationの略称で、ランディングページにおいていかにコンバージョンを起こしてもらえるかを考え改善を図っていく手法全般を指します。
先に触れたページ内容の熟考に加え、サイト内導線やクリエイティブ改善など、さまざまな施策が考えられます。
LPOについては下記の記事で詳説しているので、ぜひ合わせてお読みください。
LPOとは?実施の流れから具体的な施策まで徹底解説⑤EFOの実施
ランディングページを構成する要素のなかでも、とりわけ入力フォームはCVRに与える影響が大きいです。
この入力フォームを改善していくための考え方として、EFO(Entry Form Optimization)という概念が存在します。
フォーム入力はユーザーにとっては個人情報を送信することもあり負担の大きい作業ですが、コンバージョンに直結する行動です。
項目数の調整やデザインの工夫など、改善を加えられる要素が様々あります。
EFOの具体的な手法については下記の記事でより詳しくご紹介しています。
EFOとは?実施のメリットから具体的な改善ポイントまで⑥サイト速度の改善
ランディングページの内容に加え、ページ全体の読み込み速度の改善もCVR向上のための重要な要素です。
読み込み速度が遅くてイライラした経験はどなたでもあるのではないでしょうか。
いくら魅力的なページ内容に仕上げても、読み込みが遅く離脱されてしまえば元も子もありません。
ページの読み込み速度改善に関するTipsは下記でご紹介しております。
Webページの表示速度が遅い!?計測方法と今すぐできる改善方法を徹底解説CVR改善に活用したいおすすめツール4種
ここまでCVR改善の具体的な手法についてみてきましたが、実際に施策を進めていくにあたってはツールの活用も検討するとよいでしょう。
従来手作業や勘で行っていた作業を、客観的なデータにもとづいて効率的に進めることが可能になります。
導入していないものあれば、この機に活用を検討してみてください。
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、自社サイトにおけるユーザーの属性や行動データなどを分析できるツールです。
代表的なものとしてGoogleアナリティクスがあげられ、導入はしているもののあまり使いこなせていないという声もよくお聞きします。
アクセス解析ツールは、流入経路や離脱ポイントといったCVR改善に必要なデータを定量的に取得することができる、導入必須のツールです。
ヒートマップツール
ヒートマップツールは、ページ上でのユーザーの行動データを色付けを表現してくれます。
アクセス解析ツールのデータだけでは分かりづらい部分も、ヒートマップツールであればユーザー行動を視覚的・直観的に表現してくれるため、容易に理解することが可能になります。
ABテストツール
ABテストとは、特定の要素に絞ってA、Bの2つのパターンを用意し、ユーザーにランダムで表示してそれぞれの成果を比較検証を行うことで、より良い手法をみつけるために行うもので、専用のツールが数多く存在します。MAツールの機能の一部として搭載されているケースもあります。
ABテストは手作業で行うことも可能ですが、それぞれランディングページを都度用意するのは大きな負担となるため、やはりツールの活用がおすすめです。
チャットボットツール
チャットボットツールは、サイト上でのコミュニケーションをロボットが自動化してくれるシステムです。
ユーザーの疑問に対し素早く解決策を提供可能することでユーザービリティを向上し、アクションを促進してCVRの向上が図れるというメリットがあります。
チャットボットツールの概要やおすすめのツールは下記記事で詳しく解説しています。
2024年最新|チャットボットツール比較!利用場面別おすすめ10選まとめ
CVR改善のアプローチは、業界や業種・何をコンバージョンとして設定するかで取りうる選択肢も大きく異なります。
自社なりの仮説をもって、細かい効果検証を重ねていくことが大切です。