どのような事業においてもインターネットは必須であり、膨大な経営や売上、財務などの社内データは膨大でしょう。そんなデータを見える化し、分析に活用できるのがBIツールです。
既に多くの企業が導入していますが、さまざまなBIツールがあるため、どれを選択すれば良いか悩んでいると思います。
そこで本記事では、BIツールの概要からおすすめツール7選までを徹底解説していきます。ツールの選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
BIツールとは?
BIツールは、Business Intelligenceの略称で、企業のあらゆるデータを分析して可視化するツールのこと。社内に点在する膨大なデータも、BIツールを使えば効率よく収集・分析できます。
それまでなんとなく数字で把握していたデータを分かりやすく可視化でき、エクセルへの手入力が省けるほか、社内での共有も手軽に行えます。あらゆるデータの活用がシームレスに行えるため、業務効率化にもつながるでしょう。
BIツールの役割
BIツールの役割は、社内のさまざまなデータを収集および分析し、グラフや表などに可視化した資料を用いて事業や売上の拡張を図ることです。
社内にある財務や人事などの膨大なデータを、手作業で収集してまとめていくのは効率的とは言えません。分析ができるまでに多くの時間や人的コストを要するでしょう。
またデータは日々更新されるため、アップデートしていかなければいけません。BIツールを活用すれば、煩雑なデータ収集や分析、可視化まで負荷なく業務を遂行できます。
BIツールの主な活用シーン
BIツールは、さまざまなシーンで柔軟に活用できます。
例えば、目標の達成度合いを見る経営管理のシーンでは、為替や需要といった日々変動する要素が与える影響は少なくありません。「もし為替が2円上がったら」「需要が減ってしまったら…」といったケースを仮説立てながら分析できます。
また営業現場では、プレゼン資料の完成度が商談成立できるかを大きく左右します。そこでBIツールを活用して自社クライアントの業績アップ率や業務改善率などをグラフ化できれば、説得力のある資料作りに役立つでしょう。
このようにBIツールは、データの収集や分析のほかに、業務遂行におけるあらゆるシーンで役立ちます。
BIツールを導入するメリット
BIツールでは、社内の膨大なデータを即座に収集と分析できるため、さまざまな導入メリットがあります。
- 社内に散在する部署ごとの膨大なデータを一元管理できる
- グラフや表の作成にかかる手間や時間を削減できる
- グラフや表によるデータの可視化で現状把握が容易になる
- 課題に対して迅速な対応ができる
さまざまな部門のデータもBIツールで集約できるので、経営戦略のヒントを見つけやすくなるのもメリットでしょう。各部門における問題点や課題感が即座に判明すれば、早期解決にもつながります。
BIツールなら、こうした大量のデータを迅速かつ正確に扱えるでしょう。
BIツールにおける4つの基本機能
BIツールの主な基本機能として、以下4つの機能について紹介していきます。
- データのレポーティング・ダッシュボード
- OLAP(オンライン分析処理)
- データマイニング
- データの共有
データのレポーティング・ダッシュボード
レポーティングは、分析したデータをグラフで表す機能です。
優れたパフォーマンスや効率化が求められる、売上やKPIを分析したいときに役立ちます。
ダッシュボードにグラフを表示させる機能は、プレゼンや会議の資料作成にも活躍してくれることでしょう。
OLAP(オンライン分析処理)
OLAP(オンライン分析処理)は、蓄積されたデータをあらゆる角度から分析したいときに役立つ機能です。
さらに分析結果を適切な形式でスピーディに表示できるので、複数のデータを分析したいときにも役立つでしょう。
データマイニング
データマイニングは、さまざまなデータを分析する過程で、傾向やパターンを探索したいときに役立つ機能です。
BIツールを使えば専門的な知識がなくても、分析結果から法則性を見いだすことができます。
データの共有
データの共有機能は、BIツールで分析した結果を社内で手軽に共有できます。
クラウド型BIツールであれば、パソコンで分析した結果をスマホやタブレットでも共有できるため、規模の大きな企業でも容易に共有できるでしょう。
BIツールのおすすめ比較7選
それでは、おすすめのBIツールを7つ紹介していきます。
- Looker Studio(旧Google Data Studio)
- Microsoft PowerBI Desktop
- Qlick Sense
- Zoho Analytics
- Domo
- Pentaho(ペンタホ)
- Sisense
1.Looker Studio(旧Google Data Portal)
運営企業 | |
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主な機能 | ウェブインターフェース レポート テンプレート データコネクタ Looker Studio API レポートの埋め込み |
料金 | 無料(大企業向けは要問い合わせ) |
タイプ | クラウド型 |
公式サイト | https://cloud.google.com/looker-studio?hl=ja |
Google Data Studioは、800以上ものデータソースに接続してデータを統合できます。
直感的な操作が可能で、ダッシュボードが自動化されているのでデータ共有もスムーズです。
分析したデータをリアルタイムで共有したり、ウェブに埋め込むことも可能です。
2.Microsoft PowerBI
運営企業 | マイクロソフト株式会社 |
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主な機能 | レポート ダッシュボード OLAP データマイニング 予測分析 |
料金 | PowerBI Pro:月額1,090円 Power BI Premium:月額2,170円 |
タイプ | クラウド型 |
公式サイト | https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/ |
PowerBI Desktopは、AI機能が組み込まれていたり、エクセルと統合できたりと使い勝手の良さが魅力です。
大容量データでもスピーディに処理できて、データの自動処理も予め設定しておけば自動更新されます。
なお、パソコンにインストールして利用するPowerBI Desktopは、無料で利用できます。ProやPremiumプランでは月額利用料が発生しますが、無料体験版もあるので試してから導入を検討しやすいでしょう。
3.Qlik Sense
運営企業 | Qlik Technologies |
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主な機能 | データ準備 データ統合 アプリケーションの自動化 コラボレーションとメモ 他マイニング レポート作成など |
料金 | 月額30ドル(約4,020円)/1ユーザー |
タイプ | クラウド型 |
公式サイト | https://www.qlik.com/ja-jp/products/qlik-sense |
Qlick Senseは、あらゆるデータへの接続とデータ統合をスピーディーに行います。
AIによるデータ分析や自動作成、リアルタイムでのデータ共有が可能です。パソコン・スマホ・タブレットなど異なるデバイスでのデータ共有ができます。
まず無料体験版からお試しで利用できるので、導入を検討しやすいのも嬉しいポイントでしょう。
4.Zoho Analytics
運営企業 | ゾーホージャパン株式会社 |
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主な機能 | データ連携 AI分析 BI埋め込み データ管理 拡張分析など |
料金 | ベーシック:月額2,880円 スタンダード:月額5,760円 プレミアム:月額13,800円 エンタープライズ:月額54,600円※クラウド型の料金 |
タイプ | クラウド・オンプレミス |
公式サイト | https://www.zoho.com/jp/analytics/ |
Zoho Analyticsは、世界中の約14,000社で導入されているBIツールです。
200万以上のユーザーの中には、IKEAや日本の星野リゾートなどの有名企業も含まれています。直感的操作が可能ですが、さらにAIやML機能がサポートしてくれるのも嬉しいポイントです。
Zoho社独自のクラウドサービスは24時間いつでも利用できますし、オンプレミスでの使用もできます。設定不要で500以上のビジネスアプリケーションとの連携も可能です。
5.Domo
運営企業 | ドーモ株式会社 |
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主な機能 | データ管理 データ連携 データ統合 リアルタイムデータ分析 データ変換など |
料金 | 要問合せ |
タイプ | クラウド・オンプレミス |
公式サイト | https://www.domo.com/jp |
Domoは、モバイルアプリから簡単にアクセスできます。
クラウドにもオンプレミスにも対応していますし、クラウド/オンプレミスのハイブリッドでの使用も可能です。
Domoは数分間というスピーディなインサイトを実現しているので、戦略的なデータ分析を実現します。
レポートとダッシュボードで、あらゆるデータを可視化しリアルタイムでの共有も可能です。
6.Pentaho(ペンタホ)
運営企業 | 日立ヴァンタラ |
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主な機能 | データ統合管理 データ分析 OLAP分析 レポート ダッシュボードなど |
料金 | 要問合せ |
タイプ | オープンソース型 |
公式サイト | http://www.pentaho.com/ |
Pentaho(ペンタホ)は、BI(データ分析基盤)と、ETL(データ統合基盤)をオールインワンで利用できるのがポイントです。
世界180各国の2,000社以上で、15,000件以上の導入実績を持っています。
プログラミング不要で、100種類以上のデータソースに標準対応。最先端OSSを日立のサポート付きで利用できるのも嬉しいポイントです。
7.Sisense
運営企業 | 株式会社ギャプライズ |
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主な機能 | データ設計 データ連携 アプリケーション・Webサービスへの埋込OLAP プランニングなど |
料金 | 要問合せ |
タイプ | クラウド型 |
公式サイト | https://sisense.gaprise.jp/ |
Sisenseは、プログラミング不要でデータ管理ができるBIツールです。
機械が自動で学習しAIが24時間自動で監視しており、異常なデータがあった場合もすぐに対応可能です。画面はシンプル設計なので、データ管理経験がなくても見やすいダッシュボードを作成できます。
マーケティングや顧客管理、財務や営業などあらゆるデータでも活用でき、抱える悩みは解消できるでしょう。
Sisenseは、分析・可視化などさまざまな機能を搭載したオールインワン製品なので、導入や運用コストを押さえられるのがメリットです。
BIツールの適切な選び方のポイント5つ
では最後に、適切なBIツールを選ぶためのポイントを5つ紹介していきます。
- オンプレミス型かクラウド型か
- 直感的な操作で利用できるか
- 予算に見合った導入・運用コストであるか
- 自社が求める機能が搭載されているか
- データをどのように活用していくか
オンプレミス型かクラウド型か
BIツールは、サーバーにインストールするオンプレミス型と、インストール不要で使えるクラウド型があります。
タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
オンプレミス型 | 独自の設定ができる | ランニングコストがかかる |
クラウド型 | 手軽に導入できる | カスタマイズしづらい場合がある |
タイプによってメリットやデメリットがあるうえ、使いやすさが異なるので社内で活用しやすいタイプを選ぶといいでしょう。
直感的な操作で利用できるか
BIツールは便利なシステムですが、直感的な操作ができなければ社内に浸透しません。
導入するツールは、老若男女すべての社員が使用できる必要があります。グラフや表の見やすさやドラッグ&ドロップや入力など手軽な操作で完結するツールを検討しましょう。
直感的操作で利用できれば、すぐに社内へ浸透し、全体的な業務効率化につながるでしょう。
予算に見合った導入・運用コストであるか
BIツールを利用するうえで、外せないのは運用コストです。予算オーバーしてしまうツールでは継続的な運用は困難でしょう。
そこで利用可能なプランや初期費用、月額費用などは確認してください。ツールによってはデータ容量や機能範囲による複数プランを提供している場合があります。
BIツールの費用は月額数万円〜数十万円以上と幅広いため、自社に合ったツールとプランを吟味して導入しましょう。
自社が求める機能が搭載されているか
BIツールといっても、利用可能な機能や範囲に差があります。
中には無料で利用できるものもありますが、簡単なデータ解析しかできないといった機能制限があるケースが多いでしょう。
そこで、自社はBIツールにどのような機能を求めるのかを踏まえたうえで比較検討してみてください。
有料のBIツールでも一定期間の無料トライアルが可能な場合が多いです。トライアル期間に実際の機能を体験できるため、積極的に活用していきましょう。
データをどのように活用していくか
BIツールは社内データを収集して分析するツールですが、データを活用するイメージを持っておきましょう。
例えば、財務の業務改善でBIツールを活用するのか、マーケティングに取り入れるのかによって収集するデータやその活用方法は異なるでしょう。
「膨大なデータを一括にまとめたい…」という漠然とした理由では、最大限活用できないでしょう。
BIツールをどこでどのように活用するのかを明確化したうえで、比較検討してみてください。
まとめ:BIツールを導入して作業効率を高めよう
BIツールの活用により、社内の膨大なデータも管理から分析までスピーディに実施でき、業務効率化も図れます。
しかしそれは、自社に合ったBIツールを導入できてこそです。自社が求める機能がないツールでは、コストが無駄になりかねません。
本記事を参考にしながら、必要な機能と活用シーンのイメージを持ち、自社にとって最適なBIツールを探してみてください。